普段、特に体調が悪いわけでもないし、食事もおいしい。
仕事も私生活も充実しているし、健康面で何の不安もない。
それに自分はまだ若いから、人間ドックなんて必要ないよ!
なんて思っていませんか?
でも、本当にそうでしょうか?
そんなあなたにこそ、人間ドックの必要性についてしっかりと考えて欲しい、そう思います。
ということで、今回は人間ドックについて、最も基本的なところをしっかりと理解していきましょう。
この記事の目次
そもそも人間ドックって何?
自分は会社で1年に1回、定期的に健康診断を受けているし、検診の結果も異常なしだし、人間ドックなんて必要ないよ。そもそも人間ドックって何よ? 健康診断を受けていれば必要ないんじゃないの?
素朴な疑問ではありますが、ちゃんと理解していない方も多いのでは?
人間ドックって、普段定期的に受けている健康診断と何が違うの?
なんとなく、健康診断よりもしっかりと検査してくれそうな感じはしますが・・・
・人間ドックって何なのか?
・健康診断と何が違うのか?
・本当に必要なのか?
まずはそこから、しっかりと理解していきましょう。
人間ドックと健康診断の違い
最初に結論から言いますが、人間ドックも健康診断も「全身の健康状態をチェックする」という意味では同じです。
自分では健康だと思っている人が、定期的に健康状態をチェックして、まだ自覚症状として表れてこない初期の病巣を早期発見するためのものです。ですから、病気になって医者にかかったときのように健康保険は使えません。かかる費用は全額負担です(笑)
では何が違うのか?
違いはズバリ、検査項目の数です。健康診断の検査項目は身体測定、血圧、尿検査、血液検査など、8〜15項目程度ですが、人間ドックはこれらに加え胃内視鏡検査、腹部エコー検査などより精密な検査や、オプションでさまざまな検査項目をプラスできます。受診機関にもよりますが、最大では100項目程度まで検査項目を増やすことも出来ます。
これは健康診断と人間ドックで、目的が違うことから起こります。
目的が違うって、さっき「全身の健康状態をチェックする」という意味では同じだって言ったでしょう、言っていることがさっきと違うよ!
そんな声が聞こえてきそうですが、その辺の疑問も含め説明していきますね。
健康診断
まず健康診断から。
健康診断は、企業にお勤めの方なら1年に1回、提携の医療機関で無料(会社負担)で受けられますね。
健康診断の目的は、おもに「生活習慣の見直し」です。
睡眠不足、暴飲暴食、飲酒、喫煙、ストレスなど、日頃の生活習慣により自覚症状は無くても、何らかの体の不調が発見されることがあります。こうした状態を定期的にチェックし生活習慣を見直すことで、将来起こりうる体のトラブルを未然に防ぎましょう、というのが健康診断の目的です。
目的が生活習慣の見直しですから、検査項目もごく限られたものとなります。
健康診断のメリットは、自己負担なしで(自営業、主婦の方は自治体などで少額の自己負担で受けられるものもあります)受けられる、短時間で検査が終わるなどが挙げられます。
デメリットは、検査項目が限られているため、発見できる病気が限定的であるという点です。
よく、「俺は毎年健康診断を受けていて、特に異常も無いから健康だ」と胸を張っている人がいますが、検査項目が限定的であることを忘れてはいけません。
人間ドック
これに対し人間ドックの目的は、「自覚症状の無い病気の早期発見」です。
健康診断に比べ、より積極的なアプローチといって良いでしょう。
三大疾病と言われるがん、心疾患、脳血管疾患は、初期段階では自覚症状を伴わないことが多いため、定期的な検査を怠ると自分でも気付かないうちに進行してしまいます。
こうした事態を防ぐため定期的に検査しましょう、というのが人間ドックなんですね。
自覚症状の無い病気を早期発見するために自らの意思で定期的に検査を受ける・・・これが人間ドックの意義です。
人間ドックのメリットは、検査項目が多いこと。
通常の検査項目に加え、より精度の高い検査を追加できます。
喫煙者ならば胸部CT検査を、家族にがんが多い家計の方なら腫瘍マーカーによる検査を、最近増えている大腸がんが気になるなら大腸カメラを、脳血管疾患の早期発見のために頭部MRI検査を等、自分自身の状況、要望に合わせた検査項目をプラスできるのが最大のメリット言えます。
反面、デメリットもあります。
人間ドックは基本的には全額自己負担となります(お勤めの企業やお住まいの自治体によっては補助金の支給が受けられる場合もあります)ので、費用がそれなりにかかるという点。
通常の人間ドックだけでも4万円〜6万円(施設により価格に幅があります)これにオプション検査をプラスするとさらに高額に!
脳ドック(頭部MRI検査)を加えただけでも10万円を超えてきます。
このため、人間ドックを受けることを躊躇してしまう人も多いのではないでしょうか?
とはいうものの、人生なによりも大事なのは健康です。
健康なくして楽しい充実した生活は望めません。日頃の出費を少しずつでも抑えることで、人間ドックの費用を捻出することは決して難しいことではないはずです。
毎日飲む缶コーヒーを我慢するだけでも、1日120円、1ヶ月で3,600円になります。1年だと43,200円!
これに飲みに行くのを何回か我慢すれば、人間ドックの費用は十分に作れます。
この程度の努力で、人間ドックの費用は捻出できちゃうんです。
人間ドックはこんな人にオススメ
では、人間ドックはどのような人が受けるべきでしょうか?
基本的には成人しているすべての人に受ける理由はあるのですが、ここでは特にオススメしたい人の例をいくつか紹介しますね。
40歳以上の男性
医療機関のポスターなどで「40歳を過ぎたら1年に1度は人間ドックを受けましょう」というのを目にしたことありませんか?
なんで40歳なんだろう?
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
高齢化が進む日本では、40代なんてまだまだ若い部類・・・かもしれません。
働き盛り真っ只中で、毎日遅くまで残業、会社の同僚や友人と頻繁に飲みに行く、睡眠時間はわずか・・・
でも、至って元気!
そういう意味では、40代は脂ののりきった、人生の中でも最も「おいしい」年代とも言えます。
人間ドックを受けるにしても、50歳を過ぎてからでも良いんじゃないの?
なんて思っている人も多いかもしれませんね。
ここで、興味深いデータがありますので簡単に紹介します。
全国の医師3,300人に、何歳から人間ドックを受けるべきかアンケートしたところ、
参考記事:https://forbesjapan.com/articles/detail/17772
圧倒的に多かったのが40代から受けるべき、との回答でした。
その理由として、40代は老化が始まる年齢だからという回答を挙げる医師がいました。
なぜ50代ではなく40代から受けるべきかについて、50代になるとすでに自覚症状のある病気を患っている人も多くなり、こうした人に必要なのは健診ではなく治療だ、という考えからのようです。
40代と言えば、社会的にも家庭的にもとても重要な年代です。
日頃の忙しさにかまけて定期的な検査を怠ると、いろいろな意味で影響が大きいと言えます。
逆説的ではありますが、そういう年代だからこそ人間ドックを受ける必要があるということですね。
30歳以上の女性
では、女性の場合は何歳から人間ドックを受ければ良いのでしょうか?
男性に比べ、女性特有の病気である乳がんや子宮がんは、比較的若い年代から発症が目立ちます。
特に乳がんの場合、20代前半から罹患者が見られ、徐々にその数は増加し50代前後でピークを迎えます。そして60代以降、罹患者は減っていきます。
このことからも、早期発見の観点からは罹患者が増加し始める30代から乳がん検診は受けておいた方が良いといえます。40歳を過ぎてからの検査では遅いかもしれませんね。そういう意味からも30代からの人間ドックをオススメします。
人間ドックまでは必要なくても、定期的な健康診断と併せて乳がん検診と子宮がん検診くらいは受けておいた方が良いでしょう。最近はこれらの女性専門の検査をまとめた「レディースドック」というコースもありますので、こうしたコースをうまく利用するのも手です。
【参考記事】
乳がん検診|30歳になったら必ず受けたいその理由とは?
全女性必見!子宮がん検診についてちゃんと知っていますか?
自覚症状のある人
自覚症状がある人の場合はどうでしょうか?
自覚症状がある場合、その症状に合わせた医療機関を受診することが基本です。
自覚症状がある以上、何らかの病気である可能性が高いので、健康診断ではなく医療行為として考えるべきです。
自分は病気だ、だから医者に行く、という意識を持って専門科を受診してください。
ただ、明確な自覚症状ではなく、漠然とした症状、たとえば「なんとなく怠い」とか「疲れやすい」とか、どの専門科にかかって良いか分からない場合には、人間ドックを受けてその症状の原因を見つけるというのもひとつの手です。
人間ドックを受ける際に、事前提出する問診票に現在の自覚症状について記入することで、医師から適切なアドバイスが得られることもあります。
自覚症状のない人は人間ドックは不要?
今さらですが、ここでもう一度、説明しておきますね。
人間ドックは「自覚症状のない病気を早期発見する」ことが目的の健診です。ですから、自覚症状がないから受けなくてもいい、ということではありません。
三大疾病のひとつ、がんは初期段階ではほとんど自覚症状がありません。
また、生活習慣病の代名詞とも言える糖尿病に関しても、自覚症状はほぼありません。
自覚症状がないから自分は健康だ、という思い込みから定期的な検査を怠ってしまうと、こうした病気の発見が遅れてしまうことにもなりかねません。
自覚症状がないからこその人間ドックです。
まとめ
健康診断と人間ドックの違い、ご理解いただけましたか?
健康診断は日頃の生活習慣の見直しを主な目的とし、必要最低限の検査を定期的に行うもの。
そして人間ドックは、より積極的に「自覚症状のない病気を早期発見する」ことを目的として、自らの意思で受診するものです。
女性のみならず、男性も平均寿命が80代を超えた日本人にとって、健康は非常に重要なファクターと言えます。
元気に楽しく長生きするために、積極的に人間ドックを活用することは、もはや常識と言えるでしょう。