女性にとって、もっとも身近に感じるがんと言えば、乳がんでしょう。
TVでも多くの芸能人が乳がん罹患を発表しています。
え?あの人も?
と耳を疑うほど若い年代で乳がんになる人も珍しくありません。
この記事の目次
乳がんが他のがんと異なる点
乳がんは他のがんと大きく異なる点があります。
それは「若い年代で多く発症する」ということ。
乳がん以外のがんは、一般的には60代以上の年代で多く発症します。
これは人間が加齢とともに体内のあらゆる器官が老化し、その本来の機能が果たしにくくなること、また日ごろの生活習慣によって特定の器官に必要以上の負担がかかることなどが原因とされています。
これに対し、乳がんは40代〜50代に多く発症します。
なんとそのピークは45歳前後であり、その他のがんよりも10〜15年も早くなっています。
中には30代で発症するケースも珍しくありません。
このため、乳がんを早期発見するためには他のがんと同じく40歳を過ぎたら・・・なんて悠長なことは言っていられません。一般的には30歳を過ぎたら乳がん検診は定期的に受けるべきです。
早期発見できれば助かる
がんの中でも乳がんは、早期発見によって助かる可能性の高いがんと言えます。
2016年7月集計の全国がんセンター協議会生存率共同調査によると、女性の乳がん発症者のうちステージ3までの5年生存率は80%以上であり、ステージ2までなら96%となっています。
このことからも、早期発見出来ればほぼ助かります。
また、年間約10,000人が乳がんで命を落としていますが、そのうちの約6割は早期発見出来ていれば助かったと言われています。
こうならないためにも、罹患者数が増え始める30代になったら、早めに乳がん検診を受けておきましょう。
検査の種類
乳がん検査にはいくつかの種類があります。
通常、乳がん検診というとマンモグラフィによる乳房X線撮影ですが、それ以外にも検査方法がありますのでそれらも含め違いを説明していきましょう。
マンモグラフィ
マンモグラフィは乳房内部のがん発見のための検査です。
台に乳房を乗せ、それを挟みなるべく薄くしてX線撮影をします。
マンモグラフィにより、触診では見つけることの出来ない5mm程度の小さな初期がんも発見出来ます。
早期がん発見に効果的であり、発見されるがんの70%は早期のものと言われています。
マンモグラフィのメリット
マンモグラフィのメリットは前述の通り、早期がんの発見が得意ということです。
30歳を過ぎたら、触診で異常を認められなくても定期的にマンモグラフィ検査を受けることで、早期発見が可能となります。
マンモグラフィのデメリット
マンモグラフィのデメリットは、なんと言っても「痛い」こと。
乳房を挟むため、個人差はありますが痛いと感じる人が多いようです。
また、X線撮影なので僅かではありますが被爆します。
また、20代〜30代の若い女性の場合、乳腺が発達しているために、乳腺の影にあるような病変は発見しにくいのもデメリットと言えます。
乳腺エコー
マンモグラフィはX線を利用しますが、乳腺エコーはX線ではなく超音波を用いて検査します。
乳房に超音波を当てて、その反射波を画像化することで、がんや乳腺症などの病変を見つける検査です。
人間ドックを受けたことのある方なら、腹部エコー検査をイメージしてもらえばほぼ間違いないです。
乳房にゼリーを塗り、プローブ(接触子)を乳房の上を走らせるように動かしながら検査していきます。
乳腺エコーのメリット
乳腺エコーのメリットは、乳腺が発達している若い女性でもしっかりと検査が出来ることが挙げられます。
また、マンモグラフィのように乳房を挟み込むことがないため、痛みを伴いません。
当然のことながら、X線を使用しないため被爆することがありません。
乳腺エコーのデメリット
逆にデメリットは、マンモグラフィと比較して微細な病変の発見は難しいこと、検査を行う技師・医師の読影力の差が大きく、結果が左右されることもあります。
このため、乳腺エコーを受ける場合には、その施設の検査実績などを可能な限り調べた上で選ぶようにすることが肝要です。
乳房MRI
MRI(核磁気共鳴画像法)は、脳ドックなどで使われるMRI装置を用いて乳房を検査します。
乳房の状態を立体的に画像で捉えることが出来るため、マンモグラフィでは発見が難しい乳腺に隠れた場所にある小さながん細胞も発見することが出来ます。
乳房MRIのメリット
乳房MRIのメリットは、立体画像で乳房を捉えることが出来る点です。
乳房を立体的に捉えることで、乳腺にかくてた初期がんも発見しやすく、良性悪性の判断も可能です。
X線の代わりに磁気を用いるため、被爆の心配がありませんし、胸の部分に穴の空いたマンもコイルにうつ伏せになって検査するだけですので、痛みを伴うこともありません。
乳房MRIのデメリット
デメリットとしては、検査に時間がかかること(通常30分程度かかります)
また、磁気を用いるため、金属を体内に埋め込んでいる(心臓ペースメーカーなど)場合には検査を受けることが出来ません。
最大のデメリットは、検査が高額なこと。
これはMRIという高額の設備を用いるためです。
乳がん検診の一般的な流れ
乳がん検診の一般的な流れについて紹介していきます。
今回紹介するのは、乳がん検診のみを受ける場合のものになりますので、人間ドックや他の婦人科系ドックと一緒に受ける場合はこの流れとは異なりますのでご注意ください。
問診
まずは問診票に品強う事項を記入します。
内容としては、既婚/未婚、家族に乳がん罹患者がいるか、妊娠/出産経験、母乳授乳、乳がん検診歴、自覚症状としてしこり・痛み・出血有無などうぃ記入します。内容につきましても受診期間により若干の違いがあります。
視触診
医師による視触診です。
ベッドに横たわり、しこりの有無、乳房の形(変形有無)、転移が起こりやすい脇の下のリンパ腺、頸部、鎖骨のリンパ腺などもあわせて触診します。
マンモグラフィ検査
ちょっと痛いかもしれませんが、ここは我慢しましょう。
マンモグラフィは挟んだ乳房が薄ければ薄いほど、はっきりとした画像が得られますので検査精度が高まります。
ここのところはとても重要なポイントですので、事前に理解した上で検査に臨みましょう。
せっかく検査するのですから、より正確に検査したいと思いませんか?
結果説明
医師から直接説明を受ける場合と、結果を後日郵送される場合(施設により異なります)があります。
検査の結果、何らかの異常が認められる場合には追加の精密検査として超音波検査などを受けます。
乳がん検診の費用について
乳がん検診にかかる費用ですが、受診する施設により多少の差はありますが、マンモグラフィ検査が4,000円〜6,000円、乳腺エコー検査は3,000円〜4,000円といったところが相場です。
また、乳がん検診と子宮がん検診をセットにしたコースでは12,000円前後、人間ドックと婦人科健診をセットにしたレディースドックで50,000円〜60,000万円、さらに脳ドックもセットにしたプレミアムなレディースドックで80,000円〜100,000円、PET/CT検査と組み合わせたフルドックでは150,000円以上になります。
もちろん、高ければ良いというものではありませんが、より多くの項目を詳細に調べたいと思うほど、かかる費用も高くなるのはどの検査にも共通することです。
まとめ
他のがんと比べ、発症年齢が若い傾向にある乳がん。
30代から定期的な検査を受けることをオススメしていますが、30代のうちは乳がん検診単体で受けるといいでしょう。
40代になったら、人間ドックと合わせて受診すれば、より安心と言えます。
女性にとって乳がんはとても多いがんのひとつです。
早期発見と適切な治療を受けることで、ほかのがんと比べても完治・生存率が高いという特徴もあります。
自分には関係ない、なんて人ごとにならず、是非とも自分事に捉え、定期的な検査をしてくださいね。
【参考記事】
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