私たち日本人の死因の第1位に長年君臨し続けるがん。
その中でも最も多いのが「肺がん」です。
国立がん研究センターの調べによると、2016年のがんによる死亡者数は372,986人もいます。
がんによる死亡者数トップ3は、1位が肺がん、2位が大腸がん、3位が胃がんの順になっています。
このように、全がんの中でも肺がんは罹患者数も死亡者数も非常に多いがんなんです。
欧米では喫煙者の減少から、肺がんの罹患者数は減少してきていますが、日本ではいまだに増加しています。
ですから、しっかりと検査を受けることが、早期発見・早期治療にはとても重要なんですね。
この記事の目次
肺がんの原因
喫煙
では、肺がんの原因は何なんでしょうか?
もちろん、たったひとつの原因があるわけではなく、様々な原因が考えられますが、中でも最も大きな原因と考えられているのが喫煙です。
喫煙により肺がんのリスクは男性で約4.8倍、女性で3.9倍も高くなると言われています。これはたばこの煙の中に200種類以上の発がん性有害物質が含まれているためで、これを吸い込むことで肺がんのリスクが高まるんですね。
200種類以上もの発がん性の有害物質を吸い込んでいるわけですから、喫煙年数が長い人、喫煙本数が多い人ほど肺がんのリスクは高まります。
逆に、禁煙することで徐々にですが肺がんのリスクも下がっていきます。
受動喫煙
また、忘れてはならないのが「受動喫煙」の問題です。
本人が喫煙者でなくても、近くに喫煙者がいることで二次的に吸い込んでしまうたばこの煙によっても、肺がんリスクは1.2倍〜2倍も高くなると言われています。
いまだに日本では公共施設や飲食店で普通に喫煙できる場所が数多くありますが、こうした受動喫煙の問題を考えると対策を急ぐ必要があります。
もっと言ってしまえば、喫煙者のモラルの問題でもありますので、自分の健康だけでなく周りの人への配慮も(もっと)持つべきだと思います。
喫煙以外の原因
喫煙以外の肺がんの原因としては、大気汚染(自動車の排気ガス、工場の煤煙など)や放射性物質、アスベストなどを吸引してしまうことなどが考えられます。
こうした原因については、自宅にいるときには空気清浄機を使う、外出するときにはマスクを着用するなどの対策が考えられますが、すべての原因を完全にシャットアウトするのは実質不可能といっても良いでしょう。
こうした様々な原因から引き起こされる肺がんですが、その症状はどのようなものでしょうか?
肺がんの症状
肺がんは日本人にとても多いにも関わらず、初期段階では自覚症状が現れにくいため重篤な状況を招いてしまう危険性の高い病気といえます。
またその症状も、それが肺がんによるものかどうかの判別が困難なことも多いです。
たとえば、風邪に似た症状が長く続く場合には、肺がんの可能性を疑う必要がありますが、普段の風邪との見分けは難しく、ついつい放置してしまう、という人も多いです。
また、喫煙者で咳が長く続くとか、血痰が出るような場合には危険信号と考える必要があります。
こうした状況をそのまま放置しておくと、やがて肺がんは進行し、様々な症状が現れてきます。
たとえば胸が痛むとか、呼吸が苦しい(呼吸困難)とか、声がかれる、食べ物が飲み込みにくいなど・・・
このような症状がある場合には、一刻も早く受診しましょう。
このように、肺がんは初期段階ではほとんど自覚症状が出にくいため、一定の年齢になったら定期的に検査を受けることで早期発見に努める必要があります。
肺がん検診
肺がんは日本人にとても多いにも関わらず、自覚症状が出にくいため、健康診断などでも必ず検査項目に入っています。
では、肺がんの検査にはどのようなものがあるのでしょうか?
胸部単純X線検査
これはいわゆる胸部レントゲン検査のことです。
胸部にX線を照射し、病変の有無を調べます。
肺はほとんどが気泡のため、通常はX線画像には映り込みませんが、何かの病変があると、そこだけ白い影になって映ります。
これにより、肺炎、肺結核、肺がん、胸水、胸膜などの病変を見つけることが出来ます。
胸部単純X線検査のメリットは、大体どこのクリニックでも設備があるため、手軽に受診できることです。
反面、肺がんの場合腫瘍の大きさや位置により見つけにくいことがあるのがデメリットといえます。
また、X線を用いるため僅かではありますが被爆しますが、健康上問題になるようなレベルではありませんので心配はいりません。
喀痰細胞診
通常の健康診断や人間ドックではこの検査を行うことはあまりありません(オプション検査として受けることは可能です)が、肺ドック、肺がん検診などでは一般的に行われる検査です。
胸部単純X線検査と併せて、痰を採取して肺や気管支などのがん細胞の有無を調べます。
通常は胸部単純X線検査と併せて行い、検査精度を高めます。
胸部CT検査
CT装置で胸部を複数の輪切り状態に撮影し、胸部を立体的、多角的に観察することで、単純X線検査では判らない微細な病変も発見することができるため、早期がんの発見にはとても効果的な検査と言えます。
肺の奥深くの病変を見つけるために、カラダの回りをらせん状に切れ目なく撮影できるヘリカルCTを使うこともあります。
ただし、単純X線検査と比べ、被曝量は数倍〜数十倍になりますので、頻繁に受けることはお勧めできません。
また、妊婦さんも受けない方が良いでしょう。
まとめ
肺がん検診について説明してきました。
最後に、肺がん検診を受ける際のザックリとですが目安を紹介します。
ご参考にしてみてくださいね。
検査を受け始めたい年齢
一般的には男性で50歳、女性で55歳を過ぎたら喫煙の有無にかかわらず受けた方が良いでしょう。
喫煙者は40歳を過ぎたら定期的に検査を受けることをお勧めします。
検査を受ける頻度
毎年肺がん検診を受けないまでも、胸部単純X線検査は毎年受けるようにしましょう。
そして何か異常が見つかったら、すぐに二次検査に進みましょう。
次の人は要注意!
ご家族(血縁者)にがん経験者がいる方、糖尿病や脳卒中、心臓病など生活習慣病の方は、肺がんに関してもハイリスク群とされていますので、現状特に自覚症状がなくても積極的に検査を受けるようにすると良いでしょう。
【参考記事】
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